児童労働の現状とは?原因から私たちにできることを考えよう

みなさんは、子どもの間は学校に通って勉強をして、社会人となったら立派に働くことが当たり前だと思っていませんか?

世界には、学校に通えず、家族を支えるために、働いている子どもたちがたくさんいます。

今回は、「児童労働」について詳しく学んでみましょう。

児童労働とは

「児童労働」とは、義務教育を妨げる15歳未満の労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことです。世界には1億5000万人、つまり約10人に1人の子どもが児童労働に従事しているといわれています。

なるほどくん
なるほどくん

こんなに多くの子どもたちが働いているなんて…

児童労働は、「子どもが働くこと」すべてを指すわけではありません。

例えば、平日に学校にしっかりと通っている高校生が土日にアルバイトをすることは、児童労働には該当しません。

児童労働かどうかを判断する基準は以下の4点です。

  • 教育をうけることを妨げる労働
  • 健康的な発達を妨げる労働
  • 有害で危険な労働
  • 子どもを搾取する労働

また、児童労働として行われている主な仕事の内容は、大きく3つに分けることができます。

  • 農林水産業
  • 工業・製造業
  • サービス業

この中でも、農林水産業が全体の70.9%と圧倒的な割合を占めています。さらに、農林水産業には危険が伴う鉱山での仕事も含まれており、児童労働は危険とも隣り合わせなのです。 

なるほどくん
なるほどくん

多くの子どもたちが危険にさらされているんだね…

児童労働とSDGs

児童労働問題は、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」のターゲットとして記載されています。

【8.7】

強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終わらせるための迅速で効果的措置の実施、最も劣悪な形態の児童就労の禁止・撲滅を保障する。2025年までに少年兵の徴募や利用を含むあらゆる形態の児童就労を撲滅する。

児童労働から子どもたちを守るために、SDGsでは世界全体で解決すべき問題として目標に掲げているのです。

しかし、このままでは2025年までの撲滅は難しく、2025年時点で1億2100 万人への減少にしかならないと指摘されています。

▼SDGs8「働きがいも経済成長も」についても学んでみよう

なるほどくん
なるほどくん

まだまだ難しいけど解決しなくてはいけない問題だよね

児童労働の現状 | 世界

児童労働者1億5000万人の中でも特に多い2つの地域の現状を紹介します。

アフリカ

アフリカの児童労働者の人口は7,200万人で、地域ごとでは最も多く、子ども全体の19.2%、つまり5人に1人の子どもが児童労働者です。

アフリカには多くの発展途上国があり、貧困な国が多いため、児童労働が根付いてしまっています。

児童労働として行われている仕事のなかには、コーヒーや紅茶などの農林水産業で働いている子どもが多い傾向にあります。

これは、農作物を輸出して国の経済を支えている地域が多いためです。

農作物は大きな利益を生みにくく、天候の影響で収穫量を安定させることも難しいため、国全体が経済的に不安定となってしまっています。さらに、適正な価格で商品を買い取ってもらえず、十分な収入を得られていないことも問題になっています。

また、農林水産業には多くの人手が必要になります。子どもたちは労働力として、家計を助けるために児童労働を強いられ、学校に通うことができていないのです。

なるほどくん
なるほどくん

児童労働がなかなか減らない理由が読み取れるね

アジア太平洋地域

アジア太平洋地域には、6,200万人の児童労働者がいると言われています。

児童労働として行われている仕事のなかには、工業や製造業で働いている子どもが多い傾向です。例えば、インドやバングラデシュの縫製工場、タイやミャンマーの加工工場で子どもたちが働かされています。

また、アジア太平洋地域は都市部と農村部で貧富の差が激しくなっており、農村部の子どもたちが児童労働を余儀なくされています。特に、中国の貧富の差が激しく、農村部での児童労働が社会問題となっています。

なるほどくん
なるほどくん

地域ごとの問題を解決して子どもたちが安心して暮らせる世界になったらいいな

児童労働の現状 | 日本

日本では国連の児童労働に関する条約に批准しているため、国際的な定義に基づいて法律により児童労働の規制を行っています。

具体的には、

  • 「労働基準法」
  • 「児童福祉法」
  • 「児童買春・児童ポルノ禁止法」
  • 「風俗営業適正化法」

などの法律で、子どもたちを児童労働から守り、彼らの権利を守っています。

日本で児童労働が行われているということをあまり想像できないかもしれませんが、実は児童労働は存在しています。

警視庁よると、児童買春や淫行などの有害労働で違反容疑として検挙された件数は2020年で約800件にものぼります。また近年、危険労働にあたる太陽光パネルの点検作業を18歳未満の女子が行い、転落死するという事故も起こりました。

児童労働は日本にもまだまだ存在しており、子どもたちが苦しめられている現状があります。

なるほどくん
なるほどくん

私たちとは関係ないと目を背けてはいけないね

児童労働の原因

児童労働の原因①貧困

児童労働が行われている大きな原因として「貧困」が挙げられます。

特に、児童労働者が多いアフリカやアジア太平洋、中央アジア、南アメリカ、などの地域では貧困が児童労働を招いていることが現状です。家計を助けるため・家族を養うために、都会に出稼ぎに行ったり、プランテーション農業の仕事に就いている子どもたちがいるのです。

さらに、子どもは安い賃金で働かされることがほとんどのため、十分な収入を得られず、児童労働から抜け出すことができなくなっています。

なるほどくん
なるほどくん

お金がないことで苦しんでいる人がたくさんいるんだね…

児童労働の原因②教育機会の損失

教育を受ける環境が整っていないことや、経済的な理由で子どもに教育を受けさせてあげられないという現状も児童労働問題に結びついています。

「教育を受けることができない」という状態が、さらなる貧困を生み出す負の連鎖を引き起こしているのです。

教育は人生の選択肢を増やし、豊かな生活を送るうえでとても重要なものです。また十分な教育機会を提供することは、労働の生産性を高め、国の経済を豊かにすることにも繋がります。

しかし、教育機会の損失によって、貧困は深刻化し、児童労働を増やすだけでなく、国の経済も豊かになりません。さらに、経済が豊かにならなければ次世代の子どもたちも児童労働を余儀なくされてしまうのです。

日本でも、貧困や教育を受けることができないために、子どもたちが望まない労働をさせられている事例も少なくありません。

▼教育機会の損失は教育格差とも関連があります。教育格差についても学んでみよう。

なるほどくん
なるほどくん

負の連鎖を止めて多くの子どもたちが救われるといいな

児童労働問題への取り組み

国際労働機関

実は、2021年は児童労働撤廃国際年となっています。

これにより、国連加盟国は児童労働撤廃の重要性への認識を高めるための行動を通じ、児童労働問題の解決に向けて効率が良い技法や手法、プロセス、行動などの共有が求められています。

また、国際労働機関は毎年6月12日を児童労働反対世界デーとして定めており、様々なキャンペーンを行っています。

国際労働機関は、様々な機関の協力のもと世界各国の児童労働問題に関する取り組みを先導してきました。

なるほどくん
なるほどくん

国際労働機関の取り組みによって多くの子どもたちが笑顔になるといいね

フェアトレード商品の普及

貧困の原因の一つとして、正当な貿易が行われず適正な価格での売買が行われないことが問題になっています。

フェアトレードは、輸出される商品を適切な価格で取引することで、生産者や労働者が十分な収入を得ることで貧困の解消を実現する取り組みです。

フェアトレードが当たり前になれば、子どもたちが働かなくてはならない状況を改善できるかもしれません。

チョコレートやコーヒー豆などのフェアトレードマークがついている商品を見たら手に取ってみましょう。また、エシカルファッションやエシカルコスメも、人を搾取しないことを目的の1つに掲げているため、積極的に選んでみましょう。

なるほどくん
なるほどくん

僕たちも消費の観点からできることがあるんだね

▼ フェアトレードについても詳しく学んでみよう

児童労働問題に対して私たちができることを考えよう

今回は、児童労働の現状や取り組みについて紹介させていただきました。

まだまだ撲滅は難しいと言われている問題ですが、1人でも多くの子どもたちが救われるといいですね。

私たちも他人ごとの問題と捉えず、自分ができることを考えて行動してみましょう。

まずは、フェアトレード商品をスーパーで探してみてはいかがでしょうか?

「なるほどSDGs」では、SDGsを身近に感じられるような記事を掲載しています。ぜひ、他の記事もチェックしてみてください。

▼児童労働による都市への出稼ぎはスラム街の形成にも影響しているよ。スラム街についても学んでみよう。

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ABOUTこの記事をかいた人

「環境問題を自分ごと化するきっかけをつくる」をモットーに発信活動をしています。環境イベントの運営もしています。「地球のためにできるアクションを1人でも多くの人にしていただきたい」という想いで記事を書いています!