みなさんが普段使っている電気はどのように作られているかご存知でしょうか?
化石燃料を燃やして発電する火力発電、風の力でタービンを回して発電する風力発電など、発電方法にはさまざまなものがあります。
発電方法はたくさんありますが、どのようになっているのでしょうか?
今回は、「エネルギーミックス」の考え方を踏まえて日本の発電方法について学んでいきましょう。
Contents
エネルギーミックスとは?

エネルギーミックスとは、「社会全体に供給する電気を、特定の発電源に偏らず、様々な発電方法をバランスよく組み合わせて作ること」です。
ちなみに日本の電源構成比率(2018年度)は
- 再生可能エネルギー 17%
- 原子力発電 6%
- 化石燃料 77%
となっています。
日本はまだまだ化石燃料に発電を頼っていることが現状なので、エネルギーミックスを推し進める必要があります。

化石燃料に頼りすぎないようにするためにどうしたらいいのかな?
エネルギーミックスが重要な理由

エネルギーミックスが重要な理由は3つあります。
①3E+Sを実現するため
「3E+S」とは、日本のエネルギー政策の基本となる考え方です。
「 3E+S 」
・Energy Security(安定性):安定的な供給と自給率の向上
・Economic Efficiency(経済性):安価なコストでの供給
・Environment(環境性):温室効果ガス排出量の削減など、環境負荷の低減
・Safety(安全性):安全であること
発電方法には、それぞれメリット・デメリットがあり、複数を組み合わせる必要があります。
例えば、火力発電は安定的に発電できますが、温室効果ガスを排出します。また、太陽光発電などの再生可能エネルギーは天候の影響を受けるため不安定ですが、温室効果ガスの排出を抑えられます。
それぞれの特性を補い合うことで「3E+S」を満たすエネルギーミックスの実現を目指します。

安心安全なエネルギー作りが求められているんだね
②リスクを分散するため
日本のエネルギー自給率(エネルギーを自国で産出・確保できる比率)は約10%となっており、他の国と比べるとかなり低い水準にあります。
日本はエネルギーの大部分を海外からの輸入に頼っています。そのため、エネルギーミックスを行うことで、リスクを抑える必要があるのです。
エネルギーミックスが成り立っていれば、海外の情勢によりエネルギーを一時的に輸入することができなくなっても、他のエネルギーで補うことが可能になります。

またオイルショックが起こったときのためにも対策しておきたいね
③SDGsの目標を達成するため
エネルギー問題の解決はSDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の達成に繋がります。
また、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」のターゲットの1つには、エネルギーミックスについての言及がされています。
ターゲット【7.2】
2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させること
SDGsの目標を達成するためには、エネルギーミックスの実現が不可欠です。
再生可能エネルギーの普及とインフラ設備への投資と同時に、2030年までにエネルギーミックスを実現させる必要があります。
▼SDGsの目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」を詳しく学んでみよう

エネルギー問題の解決がSDGsの達成に繋がるんだね
エネルギー基本計画とは?

「エネルギー基本計画」は、エネルギー需給に関する政策について、中長期的な基本方針を示したものです。またこの計画は、日本のエネルギーに関する政策の土台にもなっています。
エネルギー基本計画は、少なくとも3年ごとに検討を加え、必要があれば変更しています。
2018年に発表された「第5次エネルギー基本計画」では、「3E+S」をさらに発展させるため、以下の4つの目標を掲げています。
- 安全の革新を図ること
- 資源自給率に加え、技術自給率とエネルギー選択の多様性を確保すること
- 「脱炭素化」への挑戦
- コストの抑制に加えて日本の産業競争力の強化につなげること

エネルギー基本計画をもとに、日本のエネルギー政策が決められているよ
2030年に向けた日本のエネルギー計画

日本は2030年のエネルギーミックスの確実な実現を目指しています。
エネルギーミックスの達成のために、日本が2030年に実現を目指す電源構成比率は
- 再生可能エネルギー 22~24%
- 原子力発電 20~22%
- 化石燃料 56%
となっています。

エネルギーミックスを実現するために、どんな取り組みがされているの?
エネルギーミックス実現に向けて大切となる方針は下記の4点です。
(1)再生可能エネルギーの強化
再生可能エネルギーを主力電源とするための低コスト化を図ります。また、不安定な太陽光発電・風力発電などをカバーするために「調整力」の確保を目指しています。
電気は使用量と生産量のバランスが崩れてしまうと、大規模停電の発生につながります。そのため、不安定な発電をカバーする発電量のバランス調整が必要となるのです。
(2)原子力発電の安全性や使用済み燃料への対策
原子力発電への依存度を低くしつつ、安全最優先稼働・使用済み燃料対策を推し進めていきます。
(3)低炭素化への取り組み強化
非化石燃料の導入を拡大しつつ、高効率な火力発電の稼働に取り組みます。
(4)省エネ強化
「改正省エネ法(2018年6月)」を積極的に推し進めることにより、さらなる省エネ化を推し進めます。
▼再生可能エネルギー(自然エネルギー)についても詳しく学んでみよう

SDGsとエネルギーミックスの両方が2030年に達成されているといいね!
2050年に向けた日本のエネルギー計画

2050年のエネルギーミックスについて、政府は具体的な割合を示していません。
「第5次エネルギー基本計画」でも、「2050年までに温室効果ガスを80%削減する」を達成し「脱炭素化」社会の実現に向けて「あらゆる選択肢を追求」とあるのみです。
しかし、「脱炭素化」に向けて3つの方針を示しています。
- 再生可能エネルギーの主力電源化
- 原子力発電の信頼回復、技術開発
- クリーンなガス利用にシフトし、非効率な石炭火力発電の撤退
これらの実現に向けて、技術革新や取り組みを進める企業の動きに注目しましょう。

大きな目標が達成できるといいね
エネルギーミックスを通してクリーンなエネルギーをみんなに

今回は、エネルギーミックスの概要と今後の動きを紹介させていただきました。
エネルギーミックスの実現や再生可能エネルギーの普及は、SDGsの目標の達成に不可欠ですので今後の動向を追っていきたいですね。2021年6月に「第6次エネルギー基本計画」の計画案が出る予定なので目が離せません。
私たちも日々のエネルギーの使い方について考えてみましょう。
「なるほどSDGs」では、SDGsを身近に感じられるような記事を掲載しています。ぜひ、他の記事もチェックしてみてください。
▼パリ協定についても学んでみよう!エネルギーミックスの実現は温室効果ガスの削減にも繋がります。