「飢餓」と聞くと、アフリカの人たちが頭に浮かぶ人は多いのではないのでしょうか。
しかし飢餓はアジアでも深刻化しており、私たちの住む日本にも飢餓は存在します。
この記事を通して、飢餓の現状と、なぜ飢餓が起こってしまうのかについて見ていきましょう。
飢餓とは?
まず、飢餓とはどのような状態のことを言うのでしょうか。
「飢餓」とは、長期間にわたり栄養不足が続いている状態のことです。
詳しくは、
- 長期間にわたり十分に食べることが出来ず、栄養不足に陥り、生きることが困難であること
また単に生命の維持だけでなく、
- 社会的な活動が困難な状態になること
という意味も含まれています。
栄養不足の基準として、国連食糧農業機関(FAO)は「十分な食料、すなわち、健康的で活動的な生活を送るために十分な食物エネルギー量を継続的に入手することができないこと」と定めています。
なるほど。
「飢餓」といっても単に「飢えている状態」を意味するわけではないんだね。
2018年度には、世界で8億2000万人の人が飢餓状態にあったと報告されています。
これは、日本人口の約7倍、世界人口の約9分の1に人数にあたります。
飢餓人口が3年連続で増加しており、深刻を極めています。
飢餓は、SDGs2番のゴール「飢餓をゼロに」に対して解決しなければならない問題です。
目標の中でも特に、発達阻害の子どもたちを半減させ、低体重の子どもを減らすとという目標への解決が1番遅いと言われています。
8億人も十分に食べ物を食べれていない人がいるんだ
飢餓の現状 | アフリカ
飢餓状態にある人の割合としてもっとも深刻なのがアフリカです。
アフリカではおよそ2億5000万人の人が飢餓で苦しんでいます。またその割合はどの地域でも上昇し続けています。
特に東アフリカでは、人口のほとんど3分の1が飢餓状態にあります。
アフリカで飢餓問題が深刻なのはどうしてなんだろう
大きな理由としては、アフリカの住んでいる人はほとんどが小規模の農家であることが挙げられます。
近年の温暖化の進行により、日照りが続くことや気候変動から大きく影響を受け、収入が非常に不安定な状態にあるのです。
この収入の不安定さは、食糧の確保を困難にする他、教育を受けられないといった問題にも関連しています。
また他にも紛争や内戦は飢餓を助長しています。住むところを失ったり、食料を手に入れることが困難になってしまうのです。
アフリカの飢餓問題はとても複雑なんだね
飢餓の現状 | アジア
飢餓の蔓延率が非常に高いアフリカに対して、飢餓の人数として深刻なのはアジアです。
世界で飢餓で苦しんでいる人の3分の2はアジアに住んでいます。特に、インドや中国、バングラデッシュなど人口の多い国で飢餓が進行しており、インドでは2億人、中国では1億人が飢餓状態にあります。
アジアでの飢餓問題は、アフリカの深刻さとはまた何か違うの?
アジアで飢餓問題が深刻な理由の1つは、人口の爆発的増加に対し、食糧の確保やその供給システムが追いついていないことです。
インドを例にとると、インドでは人口増加が著しく、中国の人口を超えると言われています。また、インドでは水不足も社会問題となっており、農作物への影響もあります。
他には、ミャンマーは世界最貧国の言われています。現在は国民の4分の1ほどに改善された飢餓人口ですが、数年ほど前はおよそ国民の半分が飢餓に陥っていました。
人口増加と飢餓も関連しているんだ
日本の飢餓の現状は?
では、日本の飢餓の現状は一体どのようなものなのでしょうか。
豊かな日本において飢餓なんてない、と思う人もいるかもしれません。しかし、2016年には食糧不足によって亡くなった人が15人いたと記録されています。
日本においては、「相対的貧困層の飢餓」というものがとても問題視されています。
この「相対的貧困」というのは、その国の基準において貧しい状態を指します。日本では15%の人が相対的貧困状態にあると言われており、特に家庭内の子どもが満足に食事を得られないことが社会問題となっています。
十分に食べることができず、栄養失調や病気にかかりやすくなる子どもが増えているのです。日本の場合、見た目だけではその人が相対的貧困にあるかは気付きにくいです。それは、携帯電話や服など身なりを整える分、食費を削っている場合が多いからです。
また近年では、一人暮らしの大学生が、食費を削って生活し栄養に偏りがあることも最近では注目されています。
日本にも見えないところに飢餓が存在しているんだ
▼「相対的貧困」や「日本の貧困問題」についてのコラムはこちら
飢餓の現状をまずは知ることから
今回は、アフリカ・アジアに分けて世界の飢餓の現状、また日本における相対的貧困層の飢餓について解説しました。
先進国を中心として、肥満や食べ過ぎが注意される一方、世界ではまだ8億人もの人が飢餓で苦しんでいます。その現状をしっかり受け止めていきたいですね。
なるほど。
世界にはまだまだ飢餓で苦しんでいる人がこんなにもいるんだね。
なるほどSDGsでは、SDGsの各ターゲットに関連する今の社会問題を取り上げて分かりやすく解説しています。
自分の興味のあるものからでもぜひ読んでみて下さい。
【参考文献】
Unicef , hunger free world , 国連WFP , 国際連合広報センター , 内閣府 , 厚生労働省
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