みなさん、今年から導入される森林環境税ってご存知ですか?
これは、日本の政府が決めた新しい税金の仕組みで、森を守ることと、持続可能な社会を作ることを目指して令和6年度から国が新しく開始した税制度です。(1,000円/年間)
これは日本にある豊かな自然を守り、活用していくという側面で見てもSDGs(持続可能な開発目標)を達成するための大切な一歩となる可能性があります。
一方で、日本の国民の皆さんから集められた税金が具体的にどのように活用されるのかなど、用途やそれらの説明に関する問題点も少なからず存在するようです。
今回は新しく設置された森林環境税がどのような制度なのかをおさらいした上で、森を守ることがSDGsにはどんな良いことがあるのかを一緒に考えてみましょう!
Contents
森林環境税とSDGs
どのゴールに当てはまる?
今回の森林環境税の主な目的は、簡単に言うと「日本の温室効果ガス排出削減目標の達成と、災害防止を図るために森林を整備する税金」を集める目的で設置されました!(参照:総務省「森林環境税及び森林環境譲与税について」)
森林を整備することによってSDGsのゴールにどのような影響があるのか、以下のように考えてみました!
目標6:安全な水とトイレを世界中に
森林は水の浄化作用があり、地域の水資源の質と量を保つために不可欠です。
地域によっては水道機能が独立している場所もあり、森林環境を保全することが直接的に生活用水を綺麗に保つことにつながる場合が多いです。
目標8:働きがいも経済成長も
森林管理に使えるお金が増えると言うことは、そこで働く人々の雇用の安定も望めます。雇用の創出は地域経済の活性化にも繋がり、持続可能な地域作りににもつながるでしょう。
目標13:気候変動に具体的な対策を
日本はなんと国土の3分の2が森林という自然大国!豊かな森林は二酸化炭素の吸収源として機能を果たし、CO2吸収や気温の低下など。地球温暖化の緩和に大きく貢献します。
目標15:陸の豊かさも守ろう
森林は生物多様性の宝庫であり、絶滅危惧種の保護にも繋がります。また、土壌の保護や水資源の管理にも寄与します。
他にもSDGsにどんなつながりがあるか、みんなも考えてみよう!
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森林環境税の開始にあたっての問題点
地域によっては二重課税の地域も?
今回、森林環境税が全国的に導入されるのですが、実は一部の地域では森林や公園などの自然保護に関する税金を地方自治体単位で既に集めている場合があるのです。
簡単にいうと、既に存在する森や自然を守るための地域が集めた税金と、今回新たに国が集め出す森林環境税の両方を一気に集める形になるので、納税をする地域の人にとっては近い目的の税金を二重に支払うことになるのでは?という意見もあるのです。
実際、神奈川や大阪など37府県では既に独自の森林税のような制度を設けておりますが、今回の森林環境税の用途と、これまで各地域にて設置されていた制度の用途は使い道が具体的に違う場合があります。
参照:日経新聞「森林税、国と地方で「二重取り」24年度から1000円課税、配分先行も450億円未活用」
君が住んでいる地域はどうかな?自分の住んでいる市町村のページから近い種類の税金があるのか探してみよう!
森林に関する交付金の活用は進んでいない地域がほとんど?
今回「森林環境税」が新しく始まります。では今までは国は森林に対して何の補助もしてこなかったの?と思う方もいたかもしれませんがもちろんそんなことはありません!
国庫という国のお財布のような機関が存在し、そこが「交付金」という「特定の目的に使っていいよ!」というお金を全国に配る仕組みがあります。
このお金は今までも配られていたのですが、地域によっては上手く使うことができず、何年も積み立てられている地域もあるようです。
参照:1人1000円取られる税金 なのに活用されない!?森林環境税とは
森林環境税の前にあった復興特別税とはどう違う?
また、別の問題として森林環境税が導入される直前まで、「復興特別税」という金額が年間1,000円という似ているようにも思える税金が存在していました。
今回の森林環境税の導入は、
「この復興特別税に取って付け替えたような税金なのでは?」
という意見や、
「年間1,000円の別々の税金負担を国民が一気に背負わないようにする配慮として税を集め出す期間を調整した」
など、様々な意見があります。
しかし、前提として森林環境税と復興特別税は、目的と使用用途において明確な違いがありますので、念の為一緒におさらいしておきましょう!
森林環境税
目的 | 森林の保護・管理・再生 |
使用用途 | 森林整備、CO2削減、環境教育など |
復興特別税
目的 | 東日本大震災からの復興支援 |
使用用途 | 震災復興事業、被災地のインフラ再建など |
森林環境税は環境保護と持続可能な社会の実現を主な目的としていますが、復興特別税は震災からの復興を支援するための税制であり、対象とする課題が異なります。
これからどんな風に使われるのか注目!
森林環境税は、使い道によってはSDGsの複数の目標達成につながるかもしれない新しい税金です。
今まで林業など第一次産業下で推進しにくかったプロジェクトを進めたり、SFC認証がついた商品が増えたり、日本が森林国家という特徴を生かして、J-クレジットの流通インフラ開発を国が推進してくれるなど、いろいろな希望が持てそうですね!
しかし、地域によっては二重課税・三重課税をしているという誤解があったり、税金を集めているのに具体的な利用用途の説明が足りないなどの問題があることも事実です。
日本に住んでいたらみんなが納める税金になるので、どのように使われていくのかをしっかりと自分たちでも調べてみて、自分に何ができるかを考えてみるのがSDGsにつながる第一歩ですね!
一緒に何ができるか考えてみよう!アイデアややりたいことがあったらボクに教えてね!