近年、公共交通機関や商業施設が利用しやすくなっていると思いませんか?
それは、どんな人も社会で生活しやすいような工夫がたくさんあるからです。
その工夫の一つが「バリアフリー」になります。
今回は、バリアフリーについて詳しく学んでみましょう。
ぼくと一緒にバリアフリーについて詳しくなろう!
Contents
バリアフリーとは
バリアフリーとは、主に高齢者や障がいを持つ人を対象として、生活の中で不便を感じることや様々な活動をするときに障壁になるバリアをなくすことです。
バリアフリーの例としては
- スロープ
- 多目的トイレ
- 車いすの人が利用しやすいエレベーター
などが挙げられます。
これまでは障がいのない人に合わせた社会がつくられており、障がいのある人にとってはたくさんの障壁があり、生活しにくい環境になっていました。
近年では、障がいがある人や高齢者など多様な人がいることを考え、その人たちも生活しやすいようにバリアフリーを考えた設計や取り組みが行われています。
公共交通機関には使いやすい工夫がたくさんされてきているよね
バリアフリーとユニバーサルデザインの違い
ユニバーサルデザインとは、できるだけ多くの人が便利に利用できることを目指した建築・製品・情報などのデザインのことです。
ユニバーサルデザインの例としては
- ピクトグラム(絵文字)
- センサー式蛇口
- 自動ドア
などがあげられます。
ユニバーサルデザインのものはどれも使いやすいよね
バリアフリーとユニバーサルデザインは「人々が利用しやすいものにする」という点では共通していますが、対象の違いがあります。
バリアフリーは、
主に高齢者や障がいを持つ人を対象として、生活の支障となるものを除去すること。
ユニバーサルデザインは、
年齢や障害の有無に関係なく、すべての人が利用しやすいデザインにすること。
またバリアフリーは「特に高齢者や障がいを持つ人を考慮したユニバーサルデザイン」とも言われています。
近年、バリアフリーは障害のある人や高齢者だけでなく、「あらゆる人の社会参加を困難にしているすべての分野でのバリアの除去」という意味で用いられるようになってきています。
そのため、バリアフリーとユニバーサルデザインの垣根はなくなってきていると言えるでしょう。
バリアを取り除くことで人々が生活しやすくなるね
▼ ユニバーサルデザインの7つの原則って?カラーユニバーサルデザインに関するコラムはこちら!
バリアフリーとSDGs
バリアフリーは、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」で主なターゲットが定められており、すべての人々に配慮したまちづくりを目指しています。
11-2
2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障がい者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11-7
2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障がい者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
▼SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」について詳しく学んでみよう
ぼくたちが安心して暮らすために大切な目標なんだね
バリアフリーの種類
高齢者や障がいを持つ人が、社会の中で直面しているバリアは主に4つあります。
物理的なバリア
公共交通機関、道路、建物などにおいて、移動面で困難をもたらす物理的なバリアのこと。
例
・座ったままでは届かない場所にあるエレベーターのボタン
・道を塞ぐ路上の放置自転車
・階段しかない建物
制度的なバリア
社会のルールや制度によって、障害のある人が機会の均等を奪われているバリアのこと。
例
・就職や資格試験の制限
・知識不足による盲導犬同伴での入店不可
文化・情報面でのバリア
情報の伝え方が不十分であるために、必要な情報が得ることができないバリアのこと。
例
・音声のみによるアナウンス
・手話通訳がないイベント
・点字が付いていないタッチパネル式の機械
意識上のバリア
無知による周囲からの無関心や偏見、差別などの障害のある人を受け入れないバリアのこと。
例
・点状パネルの上にモノを置く
・障がいがある人への相手を傷つける言動
すべての人に配慮するためにはこのバリアを取り除く必要あるね
バリアフリーのマーク例
障がい者のための国際シンボルマーク
障害者が利用できる建物、施設であることを表すためのマークです。
国際リハビリテーション協会の「使用指針」により定められている世界共通のシンボルマークとなっています。
このマークを施設で見かけた場合には、障がい者に配慮して利用しましょう。
( 画像出典:内閣府 )
盲人のための国際シンボルマーク
世界盲人連合で1984年に制定された盲人のための世界共通のマークです。
視覚障害者の安全に考慮された建物、設備、機器などに付けられています。
このマークを施設で見かけた場合には、視覚障がい者に配慮して利用しましょう。
( 画像出典:内閣府 )
耳マーク
耳が聞こえない人・聞こえにくい人へのマークで、当事者がつけています。
聴覚障がい者は外見ではわかりずらく誤解されることが多いため、意思表示のために作られました。
このマークを提示された場合、コミュニケーションの仕方に配慮して接するようにしましょう。
( 画像出典:内閣府 )
ハート・プラスマーク
「身体内部に障がいがある人」を表すマークで当事者がつけられています。
身体内部に障がいがある方は外見からは分かりずらく誤解されることが多いため、意思表示のために作られました。
このマークを提示された場合には、電車・バス等で席を譲るなどの配慮を行うようにしましょう。
( 画像出典:内閣府 )
ヘルプマーク
義足を使用している方、内部障がいの方、妊娠初期の方など、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることができるマークで、当事者がつけています。
このマークを提示された場合には、電車・バス等で席をゆずる、困っているようであれば声をかけるなど配慮を行うようにしましょう。
2012年から運用が始まり、認知度がまだ高くないので、知っている人が積極的に配慮を行えるといいですね。
( 画像出典:内閣府 )
ベビーカーマーク
ベビーカーマークは、エレベーターや鉄道などに掲示され、このマークがある場所ではベビーカーをたたまずに安心して使用できることを表しています。
このマークを施設で見かけても見かけなくても、ベビーカーを利用している人に配慮を行うようにしましょう。
( 画像出典:国土交通省 )
ほじょ犬マーク
身体障がい者補助犬同伴の啓発のためのマークで、商業施設やレストランにつけられています。
身体障がい者が盲導犬、介助犬、聴導犬といった補助犬を同伴されることを歓迎することを示しています。
( 画像出典:内閣府 )
オストメイトマーク
オストメイトとは、人工肛門・人工膀胱を造設している人のことをいいます。
このマークは、オストメイトの為の設備(オストメイト対応のトイレ)があることを示しています。
このマークを見かけた場合には、オストメイトに配慮されたトイレであることを理解して利用しましょう。
( 画像出典:内閣府 )
高齢者運転者標識(もみじマーク)
70歳以上のドライバーが車を運転する場合に車に貼りつけているマークです。
70歳以上は努力義務で貼ることになっており、75歳以上は義務になっています。
高齢者マークを貼っている車に対しては、安全に走行するための配慮をしなくてはいけません。
高齢者マークの車に幅寄せしたり、無理な割込みをした場合は道路交通法違反となるため注意しましょう。
( 画像出典:警視庁 )
マークが認知されてみんなが気持ちよく生活できるといいな
バリアフリーのマークを理解して誰一人取り残さない社会に
今回は、バリアフリーの詳細やマークについて紹介してきました。
みなさんも日々の生活の中で周りの人に配慮して行動してみましょう。
それが、豊かな社会をつくることに繋がるはずです。
「なるほどSDGs」では、SDGsを身近に感じられるような記事を掲載しています。ぜひ、他の記事もチェックしてみてください。
【出典】
政府広報オンライン、内閣府、日本障害者リハビリテーション協会、一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、特定非営利法人ハート・プラスの会、東京都福祉保健局、国土交通省、厚生労働省、一般社団法人日本オストミー協会、警視庁