FSC認証というものを知っていますか?
紙パックジュースやスターバックスコーヒーのカップ、ティッシュの箱など、実は私たちの身の回りにはFSC認証製品がたくさんあります。
水や空気をきれいにし、豊かな生態系をもつ森林を守っていくためのFSC認証。
その取り組みや制度について知ってみましょう。
Contents
FSC認証とは?
まず、FSCとは”Forest Stewardship Council”の頭文字をとったもので、森林管理協議会という国際的組織です。
深刻な森林破壊を問題ととらえ、持続可能で適切な森林管理を世界に広めることが目的で設立されました。
- 環境面として、環境が適切に保全されていること
- 社会面として、社会的な利益にかなっていること
- 経済面として経済的に持続可能な森林管理であること
が目指されています。
そしてFSC認証とは、持続可能的に森林管理が行われた木材とその製品を識別するために、製品生産に関わるあらゆる組織に与えられる認証のことです。
木材やその商品に独自の認証(マーク)を与えることで、消費者が責任ある森林管理を応援できる仕組みを作っているのです。
FSC製品を買うことが環境保全につながるんだね
なぜFSC認証が必要なの?
FSC認証が必要が理由①森林を守るため
森林は、木材や野菜といった自然資源を恵んでくれるだけではなく、空気を浄化し、雨で降った水を蓄え、きれいにします。もちろんたくさんの生物も暮らしていて、生態系にとって欠かせない存在です。
しかし、2015年の国連食糧農業機関(FAO)によると、天然林は1990年から2015年の間に年間で平均650万ヘクタールも減少していると報告されています。これは、毎日東京ドーム3900個分の森林が消滅している速さです。
このまま持続可能ではない形で森林を伐採し続ければ、野生動物の住処が奪われるだけでなく、山が劣化していきます。同時に、水をきれいにする力も衰えるでしょう。
なるほど。僕たちは知らないうちに森林を破壊してきたんだね..
FSC認証が必要が理由②気候変動を抑制させるため
また、社会面でいうと、森林とともに生きている人たちの生活や文化にも影響を及ぼしてしまいます。
さらに、地球温暖化とも深い関わりがあります。二酸化炭素排出による地球温暖化問題の深刻さは言うまでもありません。大気中の二酸化炭素を吸収してくれる森林を守り、気候変動も食い止めなければならないのです。
木の伐採をしすぎたために、いろんな環境問題が起こっているんだね…
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FSC認証の仕組み
FSCの認証は、木材の生産から販売に関わる全ての”組織”を対象に与えられるものです。
この認証制度を継続的に行うため、FSCには2種類の認証が存在します。FMとCoCと呼ばれるものです。FMは「Forest Management」の略で「森林管理」、CoCは「Chain of Custody」の略で「加工・流通過程」の認証です。
FSCが定める「責任ある森林管理」の条件を満たした認証林から生産されたものは、FSC FM認証の木材となります。
しかし、木材が最終製品となり、消費者のもとに届く過程で不適格な木材と混ざることがあります。この混在を防ぎ、区別するための認証がCoC認証となります
FSC製品として販売するには、生産・加工・流通のすべての過程に関わる組織が認証を受けていることが必要なのです。
FSC製品の裏にはいろんな努力があるんだね
認証取得にはどんな基準があるの?
では、FSC認証を受ける森林管理にはどのような基準が求められるのでしょうか。
FMの認証における審査には、10の原則とそれを測る70の基準があります。単に環境保全を考慮するだけでなく、環境・社会・経済のバランスが必要とされています。
10の原則には、
- 「法律や国際的な取り決めを守っている」
- 「地域社会の権利を守り、地域社会と良好な関係を保っている」
- 「森林のもたらす多様な恵みを大切に活かして使っている」
- 「環境を守り、悪影響を抑えている」
などがあります。
なるほど!どれも大事だね。
70の基準については1つ例を挙げてみます。
例えば、先ほどの「環境を守り、悪影響を抑えている」の場合には、
- 「影響を受ける様々な環境要素が調べてある」
- 「貴重な生物の住処を保護している」
- 「水資源を保護しているなどの測定基準がある」
を含めて全部で10の基準を含んでいます。
このように生産者のたくさんの努力のもとFSC認証製品がお店に並んでいるのです。
森林保全は環境だけじゃなくいろんな観点から考えないといけないんだね
FSC認証を理解して、森林を守ろう!
今回は、FSC認証に関して、その制度やFMとCoCの2種類の認証、10の原則について紹介しました。
木材生産に直接関わっていない私たち消費者でも、FSC製品を選択することで、森林環境を守る取り組みを支えることが出来ます。
これからお店でもらうカップや、買い物をする時に、FSCマークがついていないかぜひ探してみて下さい。
なるほどSDGsでは、SDGsの各ターゲットに関連する今の社会問題を取り上げて分かりやすく解説しています。
興味のあるものだけでもぜひ目を通してみて下さいね。
【参考】