もし世界から色が消えたなら。想像するだけで、生きづらいですよね。このことから、私たちが普段いかに色の情報を頼りに生活しているかが分かります。
この記事では、私たちの生活を支えてくれる色が、誰にとっても認識されるよう配慮された「カラーユニバーサルデザイン」について解説しています。
「誰一人取り残さない – leave no one behind -」という宣言のもとに立てられたSDGs。すべての人が生きやすい社会の実現を、色の観点からみていきましょう。
Contents
ユニバーサルデザインにおける7つの原則

まず、ユニバーサルデザインについて説明します。
ユニバーサルデザインとは、1980年代にアメリカで誕生した言葉で、年齢・性別・能力・言語など人の多様性に配慮した「できるだけ多くの人が利用できるよう設計されたデザイン」のことを指します。
そしてこのユニバーサルデザインには、7つの原則があります。
1、誰にでも公平に利用できること
2、使う上で自由度が高いこと
3、使い方が簡単ですぐわかること
4、必要な情報がすぐに理解できること
5、うっかりミスや危険につながらないデザインであること
6、無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
7、アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること

この原則からも、「すべての人にやさしいデザイン」であることが分かるね!
カラーユニバーサルデザインとは?

ユニバーサルデザインの1つである「カラーユニバーサルデザイン」。
これは、すべての人が分かりやすく認識できる色に配慮したデザインのことを指し、具体的に以下の3つのポイントが押さえられています。
1、できるだけ多くの人に見分けやすい配色を選ぶ
2、色を見分けにくい人にも形の差などで情報が伝わるようにする
3、色名を添えるなど色の名前を用いたコミュニケーションを可能にする
ときにCUD(Color Universal Design)と略され、上記を満たすようなデザインだと認められた製品には、CUDの認証マークが与えられています。

世界には、目の疾患や遺伝子のタイプによって一般の人と色の見え方が異なる人がいます。こうした「色弱者」と呼ばれる人は世界には2億人、そのうち日本には300万人ほど存在しており、決して珍しいことではありません。男性の方が比較的多く、男性は20人に1人、女性は500人に1人の割合だと言われています。
カラーユニバーサルデザインは、そうした色の見え方が異なる人にとっても、デザインのもつ情報が正しく認知されるよう工夫されているのです。

知らないだけで、もしかすると隣の人が見えている色は自分たちと違うかもしれないんだね。
カラーユニバーサルデザインを用いる理由

カラーユニバーサルデザインは、大きく「デザインを機能させるため」と「分かりやすく伝えるため」の2つの理由から用いられています。
デザインを機能させるため
色弱者と呼ばれる方にも個人差がありますが、生まれつき緑色と赤色、水色とピンクなど、一般に区別できるとされる色の違いを認識できない人がいます。例えば、緑色の背景に赤い文字で書かれた表示があっても、文字を認識することが難しいのです。
もし交通機関や日常生活に欠かせない標識や、災害時の警告が緑と赤などといった配色でデザインされていれば、色弱者の方は情報をうまく得ることができません。このとき、そのデザインは全く機能していないのです。

色の見分けができないと、命に危険が及ぶことも考えられるね。
分かりやすく伝えるため
そして、一般的な色覚能力をもつ人に対しても、カラーユニバーサルデザインは重要な役割を果たしています。
私たちは普段、無意識に色から情報を得て生活をしています。特にモノクロが当たり前だった時代とは異なり、現代社会における色は、情報の優先順位をつけたり、受けとる印象や心理を左右したりする役割を大きく担っています。
より多くの人に分かりやすい情報を伝えるためにも、色の選び方は大切になってくるのです。

うまく色を認識できない方にとっても、一般的な色覚能力をもつ人にとっても大事だから、「すべての人のため」のデザインなんだね。
カラーユニバーサルデザインで誰もが生きやすい世界へ

誰もが生きやすく、鮮やかな世界を実現させているカラーユニバーサルデザイン。情報が情報として正しく機能するよう、そして誰にとっても分かりやすいものになるよう、カラーユニバーサルデザインへの理解はとても重要です。
今回はカラーユニバーサルデザインを扱いましたが、誰もが生きやすい世界の実現のためには、色以外にも多くの観点が存在します。自分の言動が誰かの不自由を生んでいないか、こうした一人一人の意識が「誰一人取り残さない」世界に繋がります。

なるほど!
「なるほどSDGs」では、SDGsにまつわる情報を発信しています。SDGsを身近に感じたい人、自分事で考える世界を広げてみたい人は、ぜひ他の記事も読んでみてください。
▼「カラーユニバーサルデザイン」に関連するSDGs16の記事はこちらから