みなさんはMSC認証というものを知っていますか?
スーパーに行くと魚や魚を用いた加工品、かんづめなど、私たちの身の回りにはMSC認証商品がたくさんあります。
魚を守り、私たちがいつまでも水産物を食べることができるようにするためのMSC認証。
その制度や仕組みについて学んでみましょう。
水産物を守る仕組みを学ぼう!
Contents
MSC認証とは?
MSCとは、“ Marine Stewardship Council ” の頭文字をとったもので、海洋管理協議会という国際的な組織です。
持続可能で適切に管理された漁業を世界に広めることが目的で設立されました。
MSC認証は、MSCの厳格な規格に適合した漁業で獲られた持続可能な水産物にのみ認められる証のことで、通称「海のエコラベル」といわれています。
水産物に独自の認証を与え、そして消費者が認証のついた水産物を選ぶことによって、持続可能な漁業を応援できる仕組みとなっているのです。
持続可能な漁業が目的で作られているんだね
ASC認証との違いは?
MSC認証の他にもASC認証という水産物を守る認証があります。
ASCとは、“ Aquaculture Stewardship Council ” の頭文字をとったもので、水産養殖管理協議会という国際的な組織です。
MSC認証は天然の水産物に対する認証で、ASC認証は養殖の水産物に対する認証になっています。
養殖水産業は、
- 海洋環境の悪化
- 餌となる天然魚の利用
- 養殖魚の逃避による生態系の変化
など、海の環境に悪影響を及ぼすリスクがあります。
そこで、ASC認証を付与し、環境に大きな負担をかけず、地域社会にも配慮した養殖業を応援できる仕組みを作っているのです。
なぜMSC認証が必要なの?
MSC認証が必要な理由①魚の獲りすぎを防ぐため
国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の漁業の34.2%が持続可能な水準を超えて漁獲されています。つまり、私たちは魚を獲りすぎているということです。
魚の獲りすぎが大きな原因となり、海洋生物の個体数は1970年から2012年にかけて49%減りました。
このままでが、魚を獲ることができなくなり、魚を食べることもできなくなるかもしれません。つまり、持続可能ではなくなってしまいます。
MSC認証では、魚がいなくなることを防ぐために、漁業関係者だけではなく、流通から販売までの業者と協力し「持続可能な水産物」を守る取り組みを行っています。
人間は魚を獲りすぎているんだね
MSC認証が必要な理由②海の環境を守るため
魚の獲りすぎによって、魚の種類や数が減ること以外にも影響があります。乱獲によって、他の魚たちやウミガメ、海鳥になどの生物が巻き込まれているのです。
これが原因で、魚やその周辺の生態系が壊れてしまうことが懸念されています。
MSC認証では、水産資源と環境に配慮した、持続可能な漁業の普及に取り組んでいます。
その例としては、
- 漁獲量や漁獲時期を定めること
- 他の生物がかかりにくい道具を使うこと
などの取り組みが行われています。
魚を守るための大事な認証だね
MSC認証の仕組み
MSC認証は、認証取得を希望するすべての漁業者を対象に与えられるものです。
ですが、MSC認証の取得のために、2種類の認証が存在します。
それが、MSC漁業認証とCoC認証と呼ばれるものです。CoCとは「Chain of Custody」の略で「加工・流通過程」の認証です。
MSC漁業認証を取得するためには、MSC漁業認証規格に基づき、以下の3原則を審査します。
・資源の持続可能性
・漁業が生態系に与える影響
・漁業の管理システム
また、消費者のもとに届く過程で認証された水産物と非認証の水産物が混ざることがあります。この混在を防ぎ、区別するための認証がCoC認証となります。
MSC認証商品として販売するためには、漁獲・加工・流通のすべての過程に関わる認証を受けていることが必要なのです。
MSC認証商品なるためにはたくさんの努力が必要だね
MSC認証と日本の漁業
日本でMSC認証を取得している漁業は2020年9月現在では5件しかありません。
- ホタテガイ漁業
- カツオ・ビンナガ一本釣り漁業(2件)
- 垂下式カキ漁業
- タイセイヨウクロマグロはえ縄漁業
世界では認証取得漁業数が379件もあり、普及の始まった欧米ではかんづめなどの製品にMSC認証ラベルがついている光景は当たり前のようです。
日本はまだまだのように見えますが、日本企業の動きでこれからMSC認証取得が増えることが期待できます。
2019年10月には、MSC認証を取得するために必要なCoC認証取得企業数が、250社を超えました。
日本では、2016年頃からCoC認証を取得する企業が増えています。
理由としては、小売会社がMSC認証ラベル付き製品の取り扱いを拡大をしているためです。
CoC認証を取得する日本企業が増え続ければ、MSC認証商品として販売するための、「流通」の部分をカバーできるため、日本でもMSC認証の取得をより推進することができます。
日本でもMSC認証ラベル付き製品が増えるといいね
MSC認証の生鮮食品を選んで海の豊かさを守ろう!
今回は、MSC認証に関して、その制度や取り組みついて紹介しました。
漁業に直接関わっていない私たち消費者でも、MSC製品を選択することで、海洋資源を守る取り組みを支えることが出来ます。
これから買い物をする時に、MSC認証マークのついている商品をぜひ探してみて下さい。
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