世界ではどれくらいの人が十分な栄養を取れていないか、みなさんは知っていますか?
国の経済の仕組みや気候による影響などで、実は多くの人が十分な食事をできていない現状があります。
そこで今回は、飢餓の詳細や原因、対策の一例について紹介させていただきます。
ぼくと一緒に飢餓について詳しく学んでみよう
Contents
飢餓とは?
「飢餓」とは、長期間にわたり栄養不足が続いている状態のことです。
詳しくは、長期間にわたり十分に食べることが出来ず、栄養不足に陥り、
・生きることが困難であること
また単に生命の維持だけでなく、
・社会的な活動が困難な状態になること
という意味も含まれています。
栄養不足の基準として、国連食糧農業機関(FAO)は「十分な食料、すなわち、健康的で活動的な生活を送るために十分な食物エネルギー量を継続的に入手することができないこと」と定めています。
2020年度には、世界で8億1100万人の人が飢餓に陥ったと報告されています。これは世界人口の約10分の1に人数にあたります。
飢餓は、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」で取り上げられており、2030年までに解決しなければならない重要な問題です。
▼SDGsの目標2「飢餓ゼロに」について詳しく学んでみよう
世界中でたくさんの人が飢餓に苦しんでいるからこそSDGsの大切な目標なんだね
飢餓の原因①自然災害
自然災害は飢餓の大きな原因になります。
田畑が被害を受けてしまうと、食糧のみならず仕事などの生活基盤失ってしまうのです。
経済的・物理的に食糧を手に入れることができなくなるため、人々の栄養状態が悪化してしまい飢餓状態に陥るのです。
特に近年、気候変動の影響により干ばつと洪水が増えており、飢餓が広がっている地域も多くあります。
大きな自然災害が増えているから飢餓が増えないか心配だね
干ばつと洪水について詳しく学んでみましょう。
干ばつ
干ばつとは、長期間雨が降らない、あるいは雨が少なくなることで起こる水不足の状態です。
長期的に雨が降らない場合、砂漠化につながる可能性もあります。
また、土に水分がなくなるため土地にひびが入ってしまい、農作物を育てることが難しくなってしまいます。
近年、赤道近くのアフリカ諸国や南アジア、中央アジア、西アジアなどの地域では、干ばつによって農作物の収量減少が確認されており、食糧不足が深刻になっています。
洪水
洪水は、エルニーニョ現象による気候変動が大きく影響していると言われています。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域から南米沿岸の海域で海面水温が平年に比べて高くなる現象です。
世界各地の海面水温が上昇することで、雨雲ができやすくなり、多くの雨が降り洪水する地域が出ているのです。
逆に、エルニーニョ現象によって降るはずの雨が降らなくなった地域もあり、干ばつの原因にもなっています。
気候変動が進むともっと飢餓に苦しむ地域が増えるのかな…
飢餓の原因②紛争
紛争により住まいを追われ難民になると、その間食糧をつくることもできず、仕事もできないので金銭面でも不自由になり、多くの人が飢餓状態に陥ってしまいます。
今もアフリカや中央・南アジアなどを中心に紛争が起こっている地域が多くあります。
これらの地域では、人口の25%以上の人たちが飢餓状態に陥っているところもあります。
なかでも、イエメンでは人口の60%が飢餓状態にあり非常に深刻です。
紛争地域には食糧支援なども行われていますが、支援活動ができない危険な地域にいる人や難民の多さからまだ支援が行き届いていないところがたくさんあります。
また、難民の人たちは紛争が解決しても元の生活に戻ることが難しく、飢餓状態を抜け出すことがとても困難なのです。
紛争とは関係ない人たちが飢餓になってしまっているなんて…
飢餓の原因③貧困
飢餓の原因には貧困も深く関係しています。
特に、国や地域の社会構造から長期的に形成された「慢性的貧困」が飢餓の原因になっています。
農業を主産業とし、それ以外の産業が発達していない発展途上国では、多くの国民が「慢性的貧困」状態に陥っています。
慢性的貧困や飢餓はどのように引き起こされるの?
一国の産業構造が1つに特化していることをモノカルチャー経済といいます。
1つの生産品に特化していると、自然災害や物価の変動の影響を大きく受けるため、年によって収入が不安定であり、自然災害の被害でまったく収入が得られない場合もあります。
特に近年では、気候変動の影響で自然災害や虫の大量発生が増えたことで作物が被害を受けており、モノカルチャー経済はとても危険と言えるでしょう。
モノカルチャー経済は、ガーナのココアやキューバの砂糖などが典型的な例であり、発展途上国では多く見られ、貧困に陥りやすいのです。
貧困になってしまうと、農作物を育てることも難しくなり、食料を買うお金もなく、飢餓状態から抜け出せなくなってしまいます。
社会システムを変えるには国を超えた支援が必要そうだね
▼ SDGs1「貧困をなくそう」についてのコラムはこちらから!
飢餓に対する解決策は?
飢餓問題の解決のために、国連世界食糧計画(WEP=World Food Programme)を中心に様々な取り組みが行われています。
ちなみに日本は、WEPに毎年1〜2億ドルの支援を行っています。
WEPの支援活動の一部を紹介します。
緊急食糧支援
紛争や自然災害が起きた時、まず必要とされるのが食料です。
WFPはいち早く被災した地域に入り、人々の命を救う食料を届けています。
学校給食支援
学校給食支援は子どもたちの栄養状態を改善することができます。
給食は、地元の農家から食材を調達することで地域経済の活性化も担っています。
母子栄養支援
2歳までに十分な栄養を摂れないと、身体や脳の発達が遅れ、子どもたちの将来に大きな影響が出ると言われています。
また、出産や育児にはエネルギーが必要なため、母子の栄養状態を改善するための支援は欠かせないものになっています。
自立支援
WEPは、インフラ整備や職業訓練も行っています。
住民自身が災害に強い地域づくりや、食料不足の解消に取り組むことで飢餓になることを防ぎます。
WEP以外にも多くの組織・団体が飢餓問題の解決に取り組んでいます。
他の活動も気になる人はぜひ調べてみてください。
取り組みによって多くの人の飢餓状態が改善されるといいね
飢餓の原因を知り、世界から飢餓をなくそう
今回は、飢餓の詳細や原因について紹介してきました。
世界ではたくさんの人が飢餓によって苦しんでいることを受け止めて行動していきたいですね。
持続可能な社会をつくるためにも「飢餓」について詳しく学び、みなさんもできることを取り組んでみましょう。
「なるほどSDGs」では、SDGsを身近に感じられるような記事を掲載しています。ぜひ、他の記事もチェックしてみてください。
▼飢餓の現状についてもっと詳しく学んでみよう
参考文献:unicef、2020年度版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書、環境省、WFP国連世界食糧計画日本事務所