「安全な水とトイレを世界中に」SDGsゴール6の現状や取り組みは?

日本では蛇口をひねるだけで、きれいな水を簡単に飲むことができます。

しかし、世界を見渡してみると、きれいな水を飲むことに苦労している人がたくさんいます。

他人ごとに感じる水問題を自分ごとにしてみませんか?

今回は、水やトイレに関する問題や取り組みについて紹介させていただきます。

なるほどくん
なるほどくん

水問題について一緒に考えてみよう!

SDGs 6「安全な水とトイレを世界中に」とは

ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」では、すべての人が平等に安全な水と衛生環境へ持続的にアクセスできることを目標として掲げています。

具体的なターゲットしては、水や衛生施設への平等なアクセスを可能にすることはもちろん、水質の改善から、湿地や河川といった水環境での生態系の保護や回復までも2030年までに達成することが挙げられています。そして、持続的なものとなるよう、国際協力や水に関する地域コミュニティの支援が目標に組み込まれています。

ゴール6では、水の普及だけでなく、水環境にまつわる自然保護やコミュニティの活性化までもが取り上げられていることが分かります。

▼SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」について詳しく学んでみよう

なるほどくん
なるほどくん

水・衛生環境の改善が世界中で求められているんだね

「安全な水とトイレ」とは

ゴールで達成したい「安全な水」「トイレ(衛生環境)」とは具体的にはどのようなものなのでしょうか?

これはSDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」のターゲットに記載されています。

「安全な水」とは、「安全で安価な飲料水」のことです。

【6.1】
2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。

「安全なトイレ(衛生環境)」とは、「誰もが排泄に関して適切な処理ができる下水施設・衛生施設」のことです。

【6.2】
2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。

なるほどくん
なるほどくん

誰一人取り残さず安全な水が利用できることを目標としているんだね

「安全な水とトイレを世界中に」の現状

「安全な水」の現状

安全な水を手に入れることのできる目安は、WHO(世界保健機関)が「1km以内に1人1日20リットルの水を確保できる場所があること」と定義しています。

2000年代に入り、水へのアクセスは大きく改善されました。
安全な水を利用できる人の割合は2000年には61%でしたが、2017年には71%まで増加しました。

しかし、世界では約20億人が安全に管理された水を使用できず、このうち約1億4000万人は湖や用水路などの未処理の地表水を使用しています。まだ、多くの人が安心して水を利用できないことが現状です。

なるほどくん
なるほどくん

安全な水を利用できる人が増えるためにはどうしたらいいんだろう

「安全なトイレ(衛生環境)」の現状

トイレは、人々の健康を保ち、感染症の拡大を予防する重要な役割をもっています。

しかし、世界では、約40億人が安全に管理されたトイレ(衛生環境)を使用できていません。このうち、約6億人は、家で利用できるトイレがなく、道端や川などで屋外排泄をしています。

安全に管理された衛生サービスを利用できないことで、下痢症で命を落とす子どもたちがたくさんいます。

2000年以降、トイレへのアクセスは改善されてはいるものの、農村部では10人に7人が、トイレを使用できない生活をおくっていることが現状です。

なるほどくん
なるほどくん

トイレを利用できない人がこんなにいるなんて…

水不足の現状

安全な水にアクセスできない原因の1つに、水不足が挙げられます。

国連によると、2030年までに、淡水資源の不足は必要量の40%に達すると言われています。また、世界人口の増加により、人口が約100億人になる2050年には、2人に1人が水不足に直面すると予測されています。

水不足は飲み水の問題だけでなく、食糧問題にも影響を与えます。さらに、砂漠化の進行を早めることになり、多くの国の経済を脅かすとも考えられています。

水不足の原因は、人口の増大・産業の発展・気候変動・水源破壊・水質汚染など様々な問題が絡み合っています。

▼水不足の原因についてもっと詳しく学んでみよう!

なるほどくん
なるほどくん

今問題になっている環境問題が水不足に繋がるかもしれないんだね

その他の水問題の現状

水質汚濁/水源汚濁

水を確保する上で利用される河川や小沼の水質汚濁・水質汚染が日本や世界各国で問題になっています。

人間の手によって管理されていない河川や小湖は、生物の排泄に汚されたり、菌や寄生虫が発生したりするなど、飲み水としては不衛生です。

不衛生な水を飲み水として利用すれば、健康に多大な影響を与えます。下痢症を起こし脱水症状に陥ってしまったり、重大な病気に発展し死に至ることもあります。

世界では不衛生な水を飲み水にしなければならない地域もあり、飲み水によって命が脅かされていることが現状です。

日本では、河川・湖沼が都市用水の水源の75%を占めます。そこで法律に基づき、排水の規制、 有害な化学物・物質の放出の最小化、水質保全対策などを行っており、安全な水質を保っています。

なるほどくん
なるほどくん

きれいな水をたくさんの人が飲めるといいね

上下水道の管理

水を安全に利用し良い衛生状態を保つためには、上下水道施設の存在が不可欠です。

日本では施設が整っていますが、世界では整備されていない国や地域が多くあります。

また、上下水道が比較的整っている地域でも、貧困により利用料金を滞納し、上下水道サービスを利用できないといった問題も残されています。

なるほどくん
なるほどくん

まだまだ安全な水を手にすることができない地域も多いんだね…

日本の水・衛生環境の現状

日本では、蛇口をひねれば安全できれいな水が利用でき、トイレを見つけることにも困らないため、水・衛生問題に対して他人ごとに感じている人が多いかもしれません。

世界と比べると高い水準ですが、一部の人々が取り残されていることを忘れてはいけません。

日本の水道普及率は約98%であり、残り2%の約230万人が水道を利用できない状態です。

また、トイレの普及率(下水道普及率)は約80%です。残りの20%の地域では、くみ取り式のトイレを使用しています。水は処理されてから川に流されるため、感染症のリスクはほとんどありません。しかし、下水道が普及されていない地域は未だ残されているのです。

今後は水道・下水道それぞれの普及率を100%を達成させることが求めらています。

なるほどくん
なるほどくん

日本も衛生環境が完璧ではないんだね

「安全な水とトイレを世界中に」に対する取り組み

国際デーの策定

国際デーの策定は、人々にその問題に対して意識してもらうことを目的としています。

水や衛生環境に関する国際デーは「世界水の日」・「世界トイレの日」の2つです。

世界水の日(3月22日)

世界水の日は、水資源の開発・保全のアジェンダ21の勧告の実施に関して普及啓発を行う日です。

水の重要性や水資源、水不足の問題について考える日として定められた国際デーです。

世界トイレの日(11月19日)

11月19日は、トイレの普及促進を行っている世界トイレ機関の設立日で、活動を後押しする目的で策定されました。

貧困層への衛生施設提供を推進するなど、世界全体でトイレに関する問題について考えていく日として定められた国際デーです。

なるほどくん
なるほどくん

ずっと考えるのは大変だけど、まずは1日から

寄付

安全な水とトイレを設置するために、様々な組織が支援を行っています。また、多くの国や地域に施設を設置するためには、多くの人員や機材が必要となります。

その資金は膨大となるため、ユニセフやNPO・NGOなどでは寄付を募っています。

集められた資金は、世界各地の水・衛生環境の改善に使われており、多くの人の健康や命を救う手助けに繋がっているのです。

街頭で寄付を募っている場合もありますが、近年ではインターネットで寄付ができるため、誰でも簡単に自分のできる範囲でサポートができます。

なるほどくん
なるほどくん

世界で安全な水やトイレが普及するためにはお金が必要なんだね

捨てる水をきれいに

日本は比較的水がきれいな地域ですが、私たちが水をきれいに使わなければ、浄水が間に合わなかったり、汚れた水が自然環境に流れ出てしまうかもしれません。

食べ残しや油がついた食器は拭きとってから洗い、油類は紙に吸わせて捨てるなど、直接流さないようにしましょう。

なるほどくん
なるほどくん

きれいな水を守るアクションをみんなもしていこう!

「安全な水とトイレを世界中に」を世界中で達成しよう

今回は、水問題の現状と取り組みについて紹介させていただきました。

日本では安全な水を飲むことができていますが、水問題は気候変動といった環境問題とも関係が深く、他人ごとではありません。

水問題について考え、私たちができることを少しずつ心がけていきましょう。

「なるほどSDGs」では、SDGsを身近に感じられるような記事を掲載しています。ぜひ、他の記事もチェックしてみてください。

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ABOUTこの記事をかいた人

「環境問題を自分ごと化するきっかけをつくる」をモットーに発信活動をしています。環境イベントの運営もしています。「地球のためにできるアクションを1人でも多くの人にしていただきたい」という想いで記事を書いています!