スーパーでいつも目にする野菜、形が整いすぎていると思ったことはありませんか。
実は野菜や果物には、出荷できる形やサイズなどが決まっている「規格」というものがあります。
規格に合わない野菜は規格外野菜としてスーパーなどに送られることはなく、その多くがそのまま廃棄されています。
今回はその規格外野菜の仕組みや、規格外野菜を減らすための取り組みについてご紹介します。
たしかに、まっすぐなキュウリしか売ってない…!
Contents
規格外野菜とは?
規格外野菜とは、市場で決められた大きさや形、品質、色の「規格」から外れてしまった野菜のこと。
大きさにはS・M・L、形や品質や色にはA・B・Cという分類がされています。
規格に合わない野菜や、傷がついた品質の良くない野菜は規格外野菜となるのです。
これらの規格外野菜は、商品として出荷はされません。
カット野菜や加工品として商品になることもありますが、ほとんどが廃棄されているのが現状です。
規格外野菜として廃棄される量は、生産された野菜量の約30%〜40%にものぼります。
食べられるのに捨てられてしまう野菜がほとんどだなんて…
なぜ規格が存在するのか
規格を設ける主な理由としては、取引と流通を効率化するためです。
トラックで野菜を運搬する際、野菜はダンボールに詰められます。しかし、形がバラバラだとたくさんダンボールに効率よく野菜を詰めることが出来なくなります。
また、レストランなどの飲食店から野菜の形やサイズを指定されることもあります。それは、形の良い「きれいな野菜」を買いたいという日本の消費者の意識も関係しているでしょう。
規格に合わせるように、必要以上に農薬が使われているのです。
食品ロスとは
「食品ロス」という言葉を最近耳にすることが増えたのではないでしょうか。
食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまっている食品のこと。
日本では、年間612万トン(農林水産省及び環境省「平成29年度推計」による)もの食品が、まだ食べられる状態で廃棄されてしまっているのです。
そのうち、食べ残しや賞味期限を理由に捨てられてしまっている家庭での食品ロスが284万トン。一方、食品の製造工程で捨てられる食品ロスは328万トンという内訳になっています。
しかし、この食品ロスには出荷前に捨てられている規格外野菜は含まれていません。
ということは、食品ロスで捨てられた食品に加えて、規格を理由に捨てられた食べ物はもっとたくさんあるんだね。
規格外野菜とSDGs
規格外野菜は、政府の統計として食品ロスには含まれていません。
しかし、食品ロスだけでも日本では年間612万トンあり、世界中から飢餓に苦しむ人たちへ援助されている食糧(年間約390万トン)の1.6倍に当たります。
このような背景から食品ロスや規格外野菜は、SDGs(持続可能な開発目標)のゴール12番「つくる責任 つかう責任」にとても関連しています。
SDGsゴール12「つくる責任 つかう責任」との関係
17個あるSDGsの目標の12番目にあたる「つくる責任 つかう責任」では、「持続可能な生産と消費の仕組みを作る」が目指されています。
またさらに、具体的なターゲットの1つとして、
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、 収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
というものが掲げられており、食品ロスや規格外野菜はこれに関連します。
規格外野菜を足すと、日本の食品ロスはもっと多いんだ!
食品ロスを減らすために私たちにできること
規格外野菜は、形やサイズが規格に合わないだけで味も栄養も変わりません。
私たち消費者も、この規格外野菜を救うことが出来ます。
最近では、野菜の値段高くなっていることから規格外野菜が直売所や道の駅、スーパーでも安く売られていたりします。
他にも通販サイトで規格外野菜が取り扱われていることも。
美味しさも栄養面も変わらない、規格外のお野菜を安く手に入れてみませんか。
規格外野菜の廃棄削減に取り組む企業・団体
ここでは、規格外野菜の廃棄削減に取り組む企業や団体を紹介します。
Imperfect Produce:「いびつ」な野菜を割安でデリバリー
形や色が揃っておらず売れない「いびつ」な野菜や果物を農家から買い取り、自宅まで配送してくれるサービスです。
スーパーで売られている野菜の値段よりも約30~50%割引された価格で購入できます。
自分の欲しい野菜をカスタマイズした箱や、中身がランダムなお楽しみ箱などが選べ届く時のわくわくがあります。
única:規格外野菜を生産者と消費者が直接取引
いわゆる「見た目が悪い」とされる野菜や果物を、普通と見た目が異なるだけの「ユニークなもの」ととらえているのがúnicaです。
また、購入者のレビューもついているため安心して購入することができます。
通常の販路では販売が難しい野菜や果物を消費者に直接販売できる、オンラインのファーマーズマーケットとなります。
八百屋のタケシタ:形はワルいが、味はイイ。
こちらは神戸の八百屋さん。
「形が少し悪いから。」「見た目が少し悪いから。」という理由で廃棄される規格外野菜のフードロスをなくしたいという想いから店主の竹下さんが創業されました。
「本当においしい野菜だけをお届けしたい。」
竹下屋が取り扱う農産物は、全て店主が産地訪問して仕入れた厳選お野菜です。
形ではなく味を最も重視して仕入れる「規格不選別」の仕入れをしているので、形の良くないものもありますが、本当においしい野菜だけが売り場に並んでいます。
駅ナカ販売や、カフェでのコーナー販売を行っています。
どのサービスも、とっても素敵…
僕も利用してみよう!
美味しい野菜の「もったいない」を減らそう
取引や流通の効率化などにより生まれてしまっている規格外野菜。
味は美味しいのに捨てられてしまっていると思うととてももったいないです。
味が同じなら割安で規格外のお野菜を購入してみませんか。
まずは近くの八百屋さんなどを尋ねてみて、形の変わった野菜などを探してみましょう。
「なるほどSDGs」では、SDGsの各ターゲットについて、身近に触れている物事を取り上げ解説しています。
気になるテーマがあればぜひチェックしてみて下さい!
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【出典】