大阪府能勢町の、のどかな風景にたたずむ一軒の古民家「フェアトレードショップ&カフェエスペーロ能勢」。フェアトレードを知っていても、実際に商品を手に取ったことがある人は少ないのではないでしょうか?
衣服やアクセサリー、食品まで様々なフェアトレード商品が並ぶこちらのお店では、1つ1つの商品のヒストリーを聞きながら、常設のカフェも楽しむことができるといいます。
今回、オーナーの斎藤輝久さん・和子さんにインタビューを行いました。
店名の「エスペーロ」とは、エスペラント語で「希望」を表す言葉なんだって!
親しみやすいオーナーのご夫婦に色んなお話を聞いてみたよ!
フェアトレードに隠されたもう1つの意味とは?
改めて、フェアトレードとは何か教えていただけますか?
発展途上国と先進国の間で貿易する時に、安く買いとるのではなく公正な価格で取引することをいいます。公正というのは、生産者の方が1日3回ご飯を食べることができ、子どもが学校に行ける生活を維持することができる価格のことです。
なるほど!
「フェア=公正」な「トレード=取引」だね!
また価格だけでなく、生産者の地域を破壊しない、労働環境人権を侵さないという意味もフェアトレードの中には含まれています。
始まりは、1冊の本との出会いから
斎藤さんご夫婦がフェアトレードショップを始めたきっかけは?
昔、大阪大学の図書館で働いていた時に『パレスチナ/イスラエルの女たちは語る』という本に出会ったのがきっかけです。
『パレスチナ/イスラエルの女たちは語る―オリーブがつくる平和へのオルタナティブ』
支配の暴力に抵抗の暴力を向けるのでなく、平和と自立への「第三の道」を創り出そう。三里塚や立川・横田基地、釜ケ崎を歩き、「もう一つの日本」を目撃したパレスチナ/イスラエルの女性たちからの、連帯のためのメッセージ。( 引用:「MARC」データベースより )
この本には、パレスチナという1000年以上オリーブオイルを作っている国の話が出てくるのですが、それを読んで私もパレスチナのオリーブオイルが欲しいと思ったんです。
どうしてパレスチナのオリーブオイルを欲しいと思ったの?
パレスチナのオリーブオイルを買うことで、パレスチナで働く方を応援したいと思ったんです。普段の買い物での選択が、国際協力の第一歩に繋がるとも思いました。
そこから色々と調べてみると、フェアトレードショップで購入できることを知りました。とても小さいお店だったのですが、所狭しと商品が置かれていて、エスニックな雰囲気がすごくいいなと思ったんです。そこの店主さんは、店を定年後に始めたと聞いて、私にもできるんじゃないかと思ったのがきっかけです。
1冊の本との出会いから始まったんだね。とっても素敵!
2015年までは、隣の箕面市でお店を開いていました。今よりかなり狭く、3人も入ったらいっぱいいっぱいで、お客さんとゆっくり話ができなかったんです。「商品がどういう物語を持っているかお伝えしたい」という思いがあったので、スペースの広いこの能勢の古民家でオープンすることを決めました。カフェスペースも設け、ゆっくりお話ができるようになりました。
これは、“Commodities carry Stories(商品が運ぶ物語)”といって、私たちがとても大切にしていることなんです。
モノの価値はあなたが決める

皆さんは一般的な商品を買うときに、どのように作られ・運ばれてきたかなんて考えないですよね。資本者が機械や原料を買って、労働者が商品を作る… その過程はお金儲けが前提で、「安く・早く・大量に」作られていることが多いんです。
100円ショップに行けば、同じようなモノが手に入るかもしれません。我々消費者からすると、同じものが安く買えたらいいと思ってしまいますよね。
しかしフェアトレード商品を選ぶことで、発展途上国(東南アジア、アフリカ、中南米)の人々が、教育を受けられない環境、農薬の使われている劣悪な労働環境で児童労働・強制労働させられている現状改善の手助けすることができます。皆が幸せになるという大きな目標のために、労働の搾取をすることなく生活に見合った収益を得られる仕組みに貢献することができるのです。
1つ1つの商品にある「背景」に、価値があるという見方もできるね。
うちに置いてあるものの多くは、アジアの女性たちが作った洋服や手工芸品です。1つ1つに味があり、同じものは1つもありません。商品の物語を知って、一生懸命作られたものだ、価値のあるものだと思ってもらえたら、是非買って頂きたいです。モノの価値は、買って頂く方が決めて良いんです。その価値を分かってもらうために僕らも伝えることを大切にしています。
国際産直ともいわれるのですが、生産者に近いところで取引をしています。私たちは、信頼できるフェアトレードの会社、ピープルツリー、第3世界ショップ、シサム工房、ネパリバザーロといった会社を通じて商品を仕入れています。
またマージン(…手数料・差金)を取る仲介人を少なくするために、現地でもNGOや生産者組合を作っているんです。私たちも実際、フィリピンやネパールの生産者組合を見に行ったことがあります。
見えているものは、見えないものでできている
この記事を読んでいる方に、知ってもらいたいことは?
もっと世界に目を向けてほしいです。
ネットを使えばなんでも知識が入ってくるから、テレビやパソコン、映画を観ただけ知った気になってしまいますよね。これだけ開かれた世界になったんだから、実際に他の国に行ってみたり、外国人の友達と交流してみるなど、日本国内だけに目を向けず視野を広げてほしいと思っています。
今、私たちがいるこの空間。ここだけを見ていると平和に見えますよね。
でもそうじゃないところまでは、よく見ないと、知ろうと思わないと分からない。見えていても見えないことがあるんです。日本にいたら見えないものも、外国など視野を広げれば、ものの見方や考え方、見えるものの意味を考えるきっかけになるはずです。
エスペーロ能勢では、月1回屋根裏でSDGs関連の映画上演を行っているんだって!カラフルな商品とおしゃれなカフェご飯は、インスタ映え間違いなし!是非一度足を運んでみてね!
fairtrade shop&cafe「エスペーロ能勢」HP
なるほどSDGsライター。なるほどくん生みの親。
このメディアに関わるまでSDGsをソドクスと読むと思っていた。一緒に勉強していきましょう!
趣味はボランティア。子ども会を立ち上げたことがある。