みなさんは生物がどんどん減っていることをご存知でしょうか?
人間の活動が原因で多くの生物が絶滅の危機にさらされています。
生物を絶滅から守るには、どうすればいいのでしょうか。
今回は、絶滅危惧種の概要や原因について紹介させていただきます。
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絶滅危惧種について一緒に学んでみよう
Contents
絶滅危惧種とは?
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絶滅危惧種とは、生息している数が減っていて絶滅の可能性が高い生物のことです。
生物のなかには、恐竜のように、進化の過程で自然に絶滅してしまった生物もたくさんいます。
しかし、近年問題になっているのは、人間の活動が原因で自然のスピードをはるかにこえる絶滅が起こっていることです。
恐竜が生きていた時代は、1000年に1種が絶滅していたと言われています。ところが、1975年から2000年までの25年間に年平均で4万種の生物が絶滅してしまいました。これは、13分に1種の生物が絶滅しているということです。
今では、このスピードを超えて世界中で多くの生物が絶滅の危機にさらされています。
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たくさんの生物が絶滅しているんだね…
絶滅危惧種とSDGs
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SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」では、ターゲットの1つとして絶滅危惧種問題の記載があります。
【15.7】
保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるととも に、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
▼SDGs15「陸の豊かさも守ろう」について詳しく学んでみよう!
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絶滅危惧種問題は世界で解決しなければいけない問題なんだね
レッドリストとは?
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レッドリストとは、絶滅のおそれのある野生生物をリストにまとめたものです。
IUCN(国際自然保護連合)により発表されており、3万1,000種以上の生物が絶滅危惧種に指定されています。
日本の環境省もICUNが作成したレッドリストの評価基準に基づいて日本独自のレッドリストを作成しています。一番新しい環境省のレッドリストは、「環境省レッドリスト2020」になります。
環境省レッドリスト2020における絶滅危惧種の合計種数は3,716種となり、平成29年3月に公開された海洋生物レッドリストに掲載された絶滅危惧種56種を加えると、3,772種となりました。
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レッドリストに載っている生物を守っていきたいね
▼ レッドリストの分類やカテゴリーについてはなるほどメモから!
世界の絶滅危惧種
世界で絶滅危惧種に指定されている生物を3つ紹介させていただきます。
トラ
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トラは全世界の合計個体数が3200頭ととても少ないです。
食物連鎖の頂点にいるトラですが、毛皮を狙った人間による乱獲によって個体数が減ってしまいました。
ジャイアントパンダ
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ジャイアントパンダは、かつては中国の広い範囲に生息していましたが、現在は西側の一部の地域にのみ生息しています。
森林破壊が原因で、生息域が減少したり食糧難に陥ったことで個体数が減ってしまいました。
ジャワサイ
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ジャワサイは、かつて東南アジア全土に生息していましたが、現在の生息地は2箇所で、ベトナムでは6頭しかいないと言われています。
角が漢方薬の原料となることにより、乱獲によって個体数が減ってしまいました。
現在は保護区で生息していますが、感染症の蔓延などを理由に絶滅する恐れがあるため油断はできません。
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僕たちが知っている生物も絶滅危惧種なんだ…
絶滅危惧種の原因
絶滅危惧種の原因①地球温暖化や気候変動
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地球温暖化や気候変動による気温の上昇は生物に大きな影響を与えます。
生物は自らに適した環境(餌を獲ることや繁殖に適している場所)で生息しています。しかし、気温の上昇によって、その生物が生きていくことのできない環境に変化することがあります。
暑さに弱い生物が温度上昇の影響を大きく受けることになるのはもちろん、気温の変化を理由に周りの動植物の生息域が変わることで、影響を受ける生物は多く存在します。
また、気候変動による大雨や洪水、土砂崩れも生態系に影響を与えます。逆に干ばつが起これば、水を得ることができず、植物は枯れ、動物は死んでしまいます。
▼地球温暖化の原因である温室効果ガスについても詳しく学んでみよう!
絶滅危惧種の原因②外来種
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外来種とは、本来は生息していなかった地域に新しく生息するようになった生き物のことです。
人や物が飛行機や船などで大きな距離を移動できるようになったことから、それらに付着するなどして外来種が在来種に悪影響を与えています。
また、ペットとして持ち込まれた外来種が飼育の難しさから放棄をしてしまったり逃げられたりすることで野生に放たれています。
本来生物には食物連鎖の関係があります。しかし、外来種はその土地の食物連鎖の枠に入っていないため天敵がいません。
そのため大繁殖が起きてしまい、食物連鎖の関係を変えてしまうことで、在来種の絶滅を引き起こしています。
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全ての生物が共存できるわけではないんだね…
絶滅危惧種の原因③乱獲
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乱獲とは、野生生物を無闇に大量捕獲し、生物の繁殖を困難な状態にさせることです。
乱獲は個体数を減らすだけではなく、生態系のバランスの悪化にもつながります。
人間は、生活のために生き物を殺し食べています。
そして近年は、必要な分だけ狩っていた昔とは異なり、売買のために多くの生物を捕獲するようになりました。
また、生物の中には製品の材料にされるものもいます。毛皮製品や剝製などに使われ、高額で売買されることから乱獲が行われているのです。
近年では、乱獲を防止する法律や活動などは増えていますが、それでも違法で乱獲する人が少なからずいることは事実です。
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人間の私欲によって生物が苦しめられているなんて悲しいな
絶滅危惧種の原因④土地開発による森林伐採や埋め立て
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近年、住宅地の建設や都市開発などで森林伐採や埋め立てが各地で行われています。
木々の伐採や整地では、多くの生物が住む場所を追われることになります。その土地の生物多様性は失われ、別の環境で生きていけない生物は大きく個体数を減少させることになります。
砂浜の埋め立てによる開発では、ウミガメなどの海洋生物が産卵できる場所が減少しています。
土地開発によって人間は住みやすくなるのかもしれませんが、その背景では多くの生物が犠牲になっていることを忘れてはいけません。
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環境を変えてしまうことはとても大きなことなんだね
絶滅危惧種の原因⑤土地や海の汚染
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土地を汚染する代表的な原因は、「農薬」です。
農薬は穀物や野菜を害虫から守る役割をしてくれていますが、その土地の生物が死んでしまったり、弱ってしまったりすることがあります。また、土地や水質を汚染してしまい、周辺の川などにも被害を与えます。
海を汚染する代表的な原因は、「プラスチックゴミ」です。
プラスチックは便利な素材ですが、ポイ捨てや不適切な処理によって海に流出し、生物に悪影響を与えています。
生物の中にはプラスチックを判別できないものもいます。そのため、餌と思って飲み込んでしまい、体内で詰まらせたり、消化ができないことで死に至る場合があります。
また、釣り糸やロープなどが絡まることで身動きがとれなくなる生物もいます。
海洋に漂うごみは様々ですが、なかでもプラスチックゴミは大きな被害をもたらしています。
▼プラスチックゴミの影響についてはこちらのコラムもおすすめです
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僕たちの活動が生物を傷つけているんだね…
絶滅危惧種への対策
ワシントン条約
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絶滅危惧種の違法取引を禁止する国際条約として、1973年に採択されました。
ワシントン条約は、生きた生物の保護はもちろんですが、毛皮や角など体の一部分を使用した加工品の取引も禁止しています。
現在182の国と地域がワシントン条約に加盟しており、各国が協力して絶滅危惧種問題への対策を行っているのです。
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世界各国が問題意識を持っているんだね
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律
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日本ではワシントン条約に加え、1993年施行された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により、野生生物を絶滅から守っています。
この法律では、主に以下の3つの取り組みを行っています。
個体の取り扱い規制
国内希少野生動植物種の販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出入などを原則禁止しています。
生息地の保護
生息・生育環境の保全を図るために「生息地等保護区」を指定しています。
保護繫殖事業
個体の繁殖の促進、生息地等の整備等の事業の推進のために「保護増殖事業計画」を策定して、保護増殖のための取組を行っています。
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たくさんの生物が住みやすくなるといいね
絶滅危惧種を守るために私たちにできること
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私たちが絶滅危惧種問題に対してできる取り組みはたくさんあります。
- 寄付などに協力し、絶滅危惧種を守る活動を支援する
- 土地や河川の汚染を防ぐ
- ゴミを適切に処理し、3Rを意識する
- 地域の清掃活動などに参加する
- 節電を心がけ、二酸化炭素の排出抑制を意識する
など、このような取り組みを継続的に行うことで、絶滅危惧種を守る活動を支援することに繋がります。
▼ 私たちがSDGs達成のためにできるアクションを一緒に考えてみよう
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自分ができることを積極的にやってみよう!
絶滅危惧種を保護し、陸の豊かさを守ろう
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今回は、絶滅危惧種の概要と原因について紹介させていただきました。
私たちが充実した暮らしをしている背景には、たくさんの生物が犠牲になっていることを忘れてはいけません。
1種でも多くの生物を守るために、自分ができることから始めてみませんか?
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