地球温暖化…気候変動…
みなさんは最近これらの言葉を耳にすることが増えたのではないでしょうか?
これらの問題を解決していくためには、原因となる温室効果ガス削減が必要とされています。
温室効果ガス削減の要になるのが、国際的な枠組みである「パリ協定」です。
今回は、パリ協定について学んで、地球温暖化や気候変動について考えてみましょう。
僕と一緒にパリ協定について学ぼう!
Contents
パリ協定とは?
パリ協定とは、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。1997年に定められた「京都議定書」の後継にあたります。
パリ協定は、2015年にパリで開かれた、温室効果ガス削減に関する国際的な取り決めを話し合う「国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)」で合意されました。
パリ協定には、主要排出国を含む多くの国が参加しています。締結国だけで、世界の温室効果ガス排出量の約86%、159か国・地域がカバーされています。
そしてパリ協定では、世界共通の長期目標として以下が取り決められました。
「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」
各国はパリ協定の長期目標達成のために、経済成長と上手く両立させながら排出削減目標を達成することに力を入れています。
世界の平均気温の上昇を抑えるための取り決めなんだね!
▼温室効果ガスについて詳しく知りたい人はコラムを読んでみよう!
パリ協定の特徴は?
全ての締結国が対象
パリ協定の前身である京都議定書では、温室効果ガスの排出量削減義務が先進国だけに限られていました。
もちろん、先進国が温室効果ガスを多く排出しているので積極的に削減していかなければいけません。しかし、中国やインドなどの国が経済成長していく中で、世界の温室効果ガスの排出は増え、世界の国々が協力する必要が出てきました。
この現状を踏まえ、パリ協定での取り決めは途上国を含む全ての主要排出国が対象となっています。
温室効果ガスの削減に向けてみんなが動いているんだね
削減目標を5年ごとに提出・更新
パリ協定では、各国が温室効果ガス削減目標を設定し、国連の場において世界各国からの意見を受けた元で提出することになっています。
しかし、各国の削減目標を合わせても2度未満達成のために必要とされる削減量には届いていないことが現状です。この状況を打破するために、パリ協定では、5年ごとに各国が目標を再提出することを定めています。
再提出の際には、目標を改善することを義務化しています。
また、5年ごとに各国の目標が、パリ協定の目標に沿っているかを科学的に検証する報告書が作成されることになっており、各国はこれを受けて、次の削減目標の検討することになっています。
目標の見直しでパリ協定が達成されるといいね
排出削減の取り組みを国連に報告し、検証を受ける
パリ協定は罰則がないため、削減目標達成への取り組みが実施されない可能性があります。
そのために、各国は共通のルールで排出量を算定し、国連に報告して、それを世界各国がお互いに検証しあっています。
報告により、各国の実施状況がわかり、目標の達成度を比較できるようになります。
みんなで目標を達成しようと頑張っているんだね
地球温暖化の悪影響に備える
温室効果ガス削減は重要ですが、地球温暖化の悪影響に対する対策も合わせて重要です。
各国で温室効果ガス削減に向けて対策をしていますが、異常気象や海面上昇は続いています。目標を達成することができても、地球温暖化の悪影響を全て防げるわけではありません。
そこで各国は、5年ごとに提出する削減目標の際に、適応計画も策定して、実施していくことにしています。
また、温暖化の悪影響は、途上国ほど強く受けてしまうという現実が温暖化にはあります。そのため、パリ協定では、先進国が中心となり資金を提供し、途上国の適応策や持続可能な開発を後押ししています。
目標が達成できるように様々な取り決めがあるんだね
パリ協定をふまえた各国の温室効果ガス削減目標は?
先進国の温室効果ガス削減目標や取り組みを見てみましょう。(出典:環境省「各国の長期戦略の概要について」)
日本
2030年に26%*の温室効果ガス削減(2013年度比)、2050年に基準年なしで80%の温室効果ガス削減
*46%に引き上げ(2021年4月)
エネルギーでは、再生可能エネルギーの利用などを進めています。また運輸では、世界最高水準の環境性能の車の実現やビッグデータ・IoTなどを活用した道路交通システムの構築を目指しています。
アメリカ
2050年に80%の温室効果ガス削減(2005年比)
低炭素なエネルギーシステムへの転換、エネルギー効率・新たな材料・製造法への移行、電化が困難な航空・船舶・長距離トラックなどの燃費改善が進められています。
イギリス
2050年に80%の温室効果ガス削減(1990年比)
再生可能エネルギーや原子力などから80%以上の電力を供給し、石炭火力発電を限りなくゼロにする政策が進められています。また、ガソリン車やディーゼル車の新車販売を終了することも進めています。
フランス
2050年75%の温室効果ガス削減(1990年比)
エネルギーでは、火力発電から再生可能エネルギーや廃熱利用への転換を行っています。また、産業ではリサイクルによる低炭素素材への転換を推進、運輸でも電気自動車やバイオ燃料の普及を進めています。
ドイツ
2050年に85~90%の温室効果ガス削減(1990年比)
長期的に電力のほぼすべてを再生可能エネルギーで補えるように、火力発電を段階的に削減しています。
上記5カ国の2050年に向けた削減目標
また各国の取り組みをみると、パリ協定の目標を達成するために、再生可能エネルギーへの転換やエネルギー効率を高める仕組みづくりが目立っています。
どの国も目標達成に向かって頑張っているんだね
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パリ協定に向けた日本の近年の動き
2030年までの国別温室効果ガス削減目標(通称NDC : National Determined Contribution)において、日本のNDCは26%(2013年比)でした。
▼ NDCとは?
しかし、地球温暖化の影響は進んでおり、この目標ではパリ協定の目標を達成することが困難になっています。
そこで、現在(2021年4月)日本政府は46%(13年度比)に変更することで調整に入りました。
しかし、調査機関によるとパリ協定の目標を達成するためには、日本は60%(13年度比)が必要とされています。
現在各国が出しているNDCを合計しても、気温上昇は2100年には2度以上になると予測されています。
私たちの未来を守るためには46%では不十分であり、環境活動家を始めとして多くの人たちが抗議をしたり、署名活動を行っています。
目標に向けて、みんなで少しずつ頑張ろう
温室効果ガス削減目標を達成して気候変動に向き合おう!
今回は、パリ協定の詳細や最近の動きについて紹介してきました。
パリ協定やNDCの達成のために、私たちも自分たちができることをしていきたいですね。
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