2020年5月25日。アメリカで黒人男性が白人警官に首を絞められ殺されたニュースが、世界中を騒がしました。SNS上で、#BlackOutTuesdayや#BlackLivesMatterというハッシュタグを見たことのある人は多いでしょう。
こうした動きのなか、なぜ人種差別はなくならないのでしょうか。差別を世界からなくすため、私たちにできることには何があるのでしょうか。
この記事では、人種差別に関する過去の事件や運動をいくつか取り上げました。差別のない世界に一歩でも近づくために、私たちにできることを一緒に考えてみましょう。
Contents
人種差別はなぜなくならないのか?
そもそも「人種」とは18世紀後半にできた概念で、肌の色や骨格などといった生物学的特徴、民族や国籍といった社会的特徴を分類した種別を意味します。
そしてその違いを理由に、人間としての自由を奪うことを「人種差別」と言います。近年では、そうした差別から相手を不快にさせることを「レイシャルハラスメント」とも呼んでいます。
人種差別はなくなるどころか、新しい言葉まで生んでしまっているんだね。
悲しいことに人間には、自分と異なる人を見下して優位に立とうとすることや、理解できないものを信用しないことで自身を守る本能があります。そしてこうした本能を理由の1つに、人種差別は今もなお世界からなくなっていないのです。
なるほど。人間は勝手に自分たちを分類して、傷つけ合っているんだね…。
人種差別に関する過去の事件や運動
「差別はよくない」
多くの人がそう分かっているにもかかわらず、人種差別は今日まで続いてきました。ここでは、過去の代表的な事件や運動について、振り返ってみましょう。
アパルトヘイト政策
南アフリカ共和国で行われた人種差別政策。アパルトヘイトとは、現地の言葉で「隔離」を意味します。
白人政府が有色人種すべての労働者に対して政治的・社会的権利を奪い、両者の貧富の差を広げていきました。ネルソン・マンデラの尽力により解消されますが、この理不尽な政策は1993年まで続いていました。
アフリカ系アメリカ人公民権運動(1950~1960年代)
白人専用座席に対して黒人がバスへの乗車を拒否するバス・ボイコット運動。黒人生徒の登校が阻止されたリトルロック高校事件。1964年の公民権法制定まで、黒人に対する差別やそれに対する反発運動が繰り広げられていました。
キング牧師の “ I have a dream. ” が有名だよね。
ロサンゼルス暴動(1992)
アメリカのロサンゼルス市で行われた大規模な暴動。白人警察が黒人男性を暴力で取り締まる映像をきっかけに起こりました。ロサンゼルス市には様々な人種の人々が暮らしており、白人と黒人に限らず多くの人を巻き込んだことで映画や小説にもなるほど注目が集まりました。
#BlackLivesMatter運動(2013~)
アメリカのフロリダ州で黒人少年が白人警官に射殺された事件を発端に、SNS上で#BlackLivesMatterというハッシュタグが拡散されるようになりました。
「黒人の命も大切だ」という意味の込められたこの言葉。同様の事件はその後も繰り返され、2020年現在もなお使われているのです。
人種差別は世界中で同じように繰り返されてしまっているんだね…
人種差別をなくすために、私たちにできること
こうした人種差別をなくすため、今すぐ私たち1人1人ができることはあるのでしょうか。ここでは3つの「理解する」を紹介します。
「事実」を理解する
人種差別の歴史を知り、過去の過ちを繰り返すことを防ぎます。そして現実の悲惨さから目を背けないことも大切です。
「違い」を理解する
同じ人は1人もいません。その「違い」が固定観念や偏見を生まないよう、自分と違うところを理解し、認め合うことが大切です。
「無意識に差別をしているかもしれないこと」を理解する
「〇〇人」や「〇〇出身」といった何気ない言葉も、人種差別に繋がりかねません。少しの意識や配慮で、普段の何気ない言動が差別に繋がることは減っていくでしょう。
何気ない言動にも気を配っていきたいね。
人種差別をなくし、人の不平等を世界からなくそう
悲しいことに、「人種差別」という言葉は今もなお実態として存在し、世界中を騒がせています。
しかし見方を変えれば、その差別を許さない動きが拡大しているのかもしれません。まずは理解することから、そしてなぜ今も人種差別がなくならないのかを一緒に考えていきましょう。
そうした1人1人の優しい理解は、SDGsが10番目に掲げる「人や国の不平等をなくそう」の実現にも繋がります。
「なるほどSDGs」では、SDGs達成のために取り組む方へのインタビュー記事や、SDGsに関するコラムを掲載しています。ぜひ興味のある記事を参考に、SDGsをより身近に感じてもらえたら嬉しいです。