貧困問題と聞いて、皆さんはどんなことを思い浮かべますか?
途上国に暮らす人や、紛争で住む所を失った人などを想像する人も多いかもしれません。しかし、私たちの住む日本でも、人口1億2700万人のうち2000万人が貧困層だと言われています。
そんな中でも今、貧困層にいる子どもたちに向けた支援が注目を集めているのをご存じでしょうか?今回は、日本における子どもの貧困問題の現状を踏まえ、その原因や解決にむけた支援をご紹介します。
Contents
日本における子どもの貧困問題の現状は?
日本では、7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われています。
そもそも貧困の定義はどのようなものなのでしょうか?
貧困には、「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があります。
「絶対的貧困」とは、前述にもある通り、途上国や紛争地などで人間として最低限の生活をも営むことができないような状態を指します。
一方、「相対的貧困」とは、国民の標準的な生活水準に比べて、所得が半分以下である事を指します。そのような生活環境にいる子どもたちの中には、安心して過ごせる場所がない、教育機会に恵まれない、温かい食事が食べられないといった問題に直面しています。
日本の貧困層のほとんどは「相対的貧困」ということだね。
なぜ、子どもの貧困問題が生じてしまうの?
子どもの貧困問題が発生する原因の一つに、1人親家庭の増加があげられます。
統計局によると、ここ25年間でひとり親家庭は約1.5倍に増えており、それに伴って子どもの貧困率や相対的貧困率は上がっています。子育て世代の人のうち正規雇用を受けた労働者は減っており、非正規雇用でフルタイム働いても貧困線に達しない「ワーキングプア」と呼ばれる人々が増えているのです。その結果、親の経済的貧困が子どもの貧困を引き起こしています。
そして、貧困は連鎖します。生活保護を受給していた家庭の子どもの約30%が、将来同じように生活保護を受けるというデータが出ています。これは、親の収入が低いことにより塾などの教育機関に通えない、進学を諦めるといった現状があるためだと考えられます。
例えば、大学の進学率を見てみると全世帯 では73.2%に対し、生活保護世帯は33.1%になっています。良い教育を受けられないことにより、子どもたちの将来の仕事や生活に関わってくるのです。
貧困の連鎖から子どもたちを救うには、どんな方法があるんだろう?
子どもの貧困問題の解決策
子どもの未来応援プロジェクト
現在、「子どもの未来応援プロジェクト」という政策が行われています。
これは、生まれ育った環境に関わらず、子どもたちが自分の可能性を信じて前向きに挑戦し、未来を切り拓いていける社会作りを目指し行われているものです。多くの企業が寄付や取り組みに参加し、NPO団体などからも積極的に支援されています。
このプロジェクトでは、「教育」「経済」「生活」「就労」の4つの支援が行われています。子どもの貧困の連鎖を断ち切るのに重要な要素の1つである「教育」においては、就学や学習、多様な活動体験などの支援が行われています。
子ども食堂
そして子どもの貧困問題への取り組みとして、特に注目を集めているのが「子ども食堂」です。これは、地域住民やNPO、自治体が主体となり、子どもたちやその家族に向けて無料または低価格で食事を提供するというものです。
親が夜遅くまで仕事をしている為に1人で食事を取る子ども、食事が用意されておらず食べるものがない子どもなど、貧困問題や家庭環境により食事に困っている子どもたちにとって、必要不可欠な場になっています。
また、子ども食堂はコミュニケーションの場にもなります。放課後、学校にも家にも居場所のない子どもたちにとって、子ども食堂は新しい居場所としての役割も果たしているのです。
こうした場で大人が話し相手や相談相手になることで、子どもが感じているさまざまな問題が解決に向かうこともあるみたいだね。
参考:日本財団公式サイト , 子供の未来応援国民運動公式サイト
子どもの貧困問題の現状を知り、私たちにもできることを考えよう
実は私たちの身近なところでも行われている、子どもの貧困問題への取り組み。この問題は、地域住民が一体となって支援していくことが必要です。
専門分野には関わりにくいと感じる方もいるかもしれませんが、子どもたちとコミュニケーションを取ることや、子ども食堂など地域のイベントに参加することなど、まずは身近なところから始めてみるのも良いかもしれませんね。将来を担う子どもたちのために貧困の連鎖を断ち切り、誰もが暮らしやすい世の中をつくるためにも、1人1人が意識することが大切です。
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